断酒をはじめてから、僕は色々なものに没頭してきた。
それは色々なものをまんべんなく行う、ということではなくて、決めたらとことんやり続ける、といった具合だった。
その中の一つとして読書がある。
僕は子供の頃、オモチャ屋さんに行くよりも本屋にいく方が好きなほど本を読んでいた。
けれどもアルコールを飲むようになってから、読んでるそばから忘れていくのでいつしか本を読むことをやめてしまった。
恐らくは読むと言う行為事態が煩わしくなってしまったことも大きく影響していると思う。
とにかくそれまでは飲んでさえいればそれでよかったから。
そんな僕でも断酒をはじめてから半年位が経過した頃、久しぶりに本でも読んでみようという気になった。
正確に言うと、休みの日にカフェにいってコーヒーを飲みながら読書をする揺ったりとした時間を過ごしたいと言う思いが先にたっていたと思う。
いづれにしろ最初の頃は本屋さんに行って、気になった本を買い、併設されたカフェで二時間ほど本を読む。ということを続けていた。
それがだんだんエスカレートしていき、気づけば活字を目で追っていないと落ち着かない状態になっていった。
その頃は本屋に行くなんて流暢なことはいってられず、あらゆる電子書籍をダウンロードし、読み漁っていった。
今年の一月には一月で11冊。読書好きにとっては決して多い数ではないけれど、25年以上もの間、本から遠ざかっていた僕にとっては結構なペースだったと思う。
読んだジャンルも多岐にわたっていて、星のおじさまからサピエンス全史、7つの習慣などあらゆるジャンルを読んでいった。
また、そのころ読書メーターというアプリの存在を知り、一日も早く、一冊でも多く読んだ本を増やしていくこととレビューを書くことに不思議な使命感を感じていた。
そんな中でも 住野 よる さんの書いた本はお気に入りで一日に一冊のペースで読んでは、また最初から読み返したりと取り付かれたように読み続けていた。
では、その読書熱が今はどうなったかと言うと、月に3冊程度に落ち着いている。
ただし常時5冊程を平行して読むという変わった読み方になっている。
この事を断酒と絡めて考えてみると、はじめは、アルコールによって止まっていた知識を増やしたいとか、物語を通じて様々な経験をしたいという言う当たり前の願望の堰がきれたことが影響していると考えていた。
でも今思うと、アルコールに逃げないために、子供の頃に没頭していた読書という行為にすがり付くことで正気を保とうとしていたように思う。
これが去年の5月に断酒を初め、半年後の11月から2月までの4ヶ月間に僕に起きた象徴的な出来事の一つにあたる。