あたりまえではない時間
家族で夕食を食べ、
食器を洗い、
息子が僕の誕生日か何かの時にプレゼントしてくれた“I♥️NY”と書かれたビールジョッキに、
冷凍庫の氷を2杯入れ、
浄水器から水を注ぎ、
薄暗いダイニングの椅子に腰掛け、
リビングから聞こえてくるユーチューブの音と、
娘の笑い声が耳に程よく届きながら、
スマートフォンを左手に持ち、
右手の親指で、
何の起承転結も考えず、
こうしてブログを一文字一文字綴っていく。
時折猫が近づいてきて、
僕の足に軽く体を刷り寄せる。
ユーチューブの音が小さくなると、
今度は水槽のポンプから吸い上げられた水が、
水面に落ちる音がかすかに聞こえてくる。
ジョッキの水を継ぎ足しにキッチンへ行くと、
まな板の上には明日の為の、
仕込み途中のローストビーフが置いてある。
それを見て、
そう言えば、
明日は娘の友達が遊びに来ると言っていたことを思い出す。
3か月前と同じ時間、
同じ場所に居るのに、
I♥️NYのジョッキの中身が、
ビールから水に変わっただけなのに・・・