トンネルの先を確かめたいから。

断酒の先にある可能性を探しながら日々の想いを綴るブログ

こころ




夏目漱石のこころを読んだ。

ふとしたことから夏目漱石に興味を持ち、漱石の作品の中から選んだものがこころだった。



アルコールを飲むことをやめ、気持ちの浮き沈みは少しずつ和らいできてはいたけれど、ずっと答えの出ない葛藤を続けてきた僕にとって、こころの一文一文は、僕のこころに染み込んでいった。

こころを書いた、今は亡き漱石という偉人のこころを想像しながら読み終えた。



読み終えたとき、生きているという事の大事さを強く感じた。

僕の生きている、この今の物語を漱石のように、何らかの形で残していきたいと強く感じた。

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五月晴れ

気持ちよく晴れ渡った休日の午前中。

水槽のエアレーションをストップさせ、CO2添加のコックを開ける。

I♡NYと書かれたジョッキに氷を入れて、3分の1ほどの牛乳と3分の2ほどのコーヒーを入れる。

出来上がったジョッキをを傍らにおいて、ノートパソコンを立ち上げる。

3か所の窓を開け放ち、カフェで聞こえてくるようなジャズミュージックを控えめにかける。

2匹の猫が窓を開けた音を聞きつけて窓辺に近づいてくる。

本当であれば手作りのサンドイッチでも手短にこしらえられるとよいのだけれど、ダイニングテーブルに置いてあった貰い物のどら焼きで朝食をすます。

それでも僕にとっては上出来な朝。



庭の芝生は昨日10mmの刈り高でカットした。

昨日植えた南天とヒューケラは、朝日をいっぱいに浴び、柔らかい風を受けてたなびいている。

ふと、すっかり大きくなった窓の外のギボウシに目が留まり、サムネイルにしようと思って携帯を片手に写真を撮りに外へ出る。

上出来な朝。



明後日で僕がアルコールをやめてからちょうど2年になる。

あと2週間ほどで僕は45歳になる。

自分のことを僕と呼べるような年ではないけれど、私というのもしっくりこない。



今、夏目漱石の“こころ”を読んでる。

今は“私”が大学を卒業したあたりを読んでいる。

夏目漱石を読むのは、中学の頃に読んだ“吾輩は猫である”以来2冊目だけれど、当時よりもその時代の言葉をすんなりと受け入れることができるようになった。

僕が夏目漱石がこの世を去った年になるまであと4年ほどだけれど、あと4年ほどで僕は自分を私といえるような大人になれるだろうか?



きっとなれはしないと思うけれど、せめて休日の朝に手短にサンドイッチを作れるくらいにはなれればいいなと思っている。

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何かを思い出しそう。

ようやく顔を出し始めたギボウシの芽のように、もう少しで何かを思い出しそうな気がする。

酒に囚われ、自分に囚われていた頃から2年が経過し、忘れていた大切な何かを思い出しそうな気がする。

僕が僕だった頃の、大切な何かを。


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もう少し



庭にギボウシを植えた。

地上部が全くないギボウシを植えた。

パトリオットと言う品種で白色の斑入が気に入り、地上部の無いギボウシを植えた。



目を出すのはいつだろう。

今は土に埋もれ、見る影もないギボウシ

美しい斑入りのコントラストを見せてくれるのはいつだろう。



今は土の中で芽吹くための力を蓄えている。

辛くても、思い通りにいかなくても。

信じていればいつかは。

それはきっともう少し。



地上に出たらきっと気がつく。

土の中のあの時があったからこその今があると。



だから今は自分を信じる。



もう少しでおひさまに会える。

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覚醒とは

春を感じさせる心地の良い風と穏やかな日差し



カーラジオから聞こえてくる音楽と歌詞が心に染み込んでくる



程よく手の入れられた花壇

色鮮やかなパンジーが優しい気持ちを与えてくれる



誰かのことを思い、誰かを愛おしく感じる



それらの人として当たり前のことを、

大切だと感じられることだと、

気づけることだと、

僕は思う



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あてのない文字列

久しぶりにあてもなく文章を記したくなり、以前購入したキーボードを引っ張り出してこの文章を書いている。

以前書いていた時からスマホが変わっていたのでペアリングをし直さなければならず、少し手こずったけれど、すっかりシラフが当たり前になった僕に取ってはさほど苦でもない。

アルコール漬けだった以前であればすぐに諦めて放り投げてしまっていたと思う。



先程このブログを書き終え、キーボードを片付けて戻ってきたら、書き上げたはずの内容がすっかり消えていたけれど、それでさえシラフでいると対した苦にはならない。

せっかくなので先程書き上げたものとは違うことを、テンキーを使って書き直すのもそれはそれで有りだと思える自分に、少しだけ感心する。

アルコールを口にしなくなり、一年と十ヶ月が経過した。

やめてから一年くらいは躁鬱状態を繰り返し、辛い日々も送ってきたけれど、今はとても落ち着いた気持ちで居ることが出来る。

後1年もすればきっとこれまでずっと自問自答してきたことに対する前向きな答えと、すべき事がはっきりと見えてくるだろう。

こんなことを考えていると、ふと頭をよぎることがある。

それは、あのアルコール漬けの日々について。

もちろんあの頃の状態に二度と戻りたいとは思わない。

ただ一方で、あの頃の僕がいたら今の僕がいて、失ったものを知っているからこそ、大切にしたいと思える自分がいて…

きっとその答えもいつかわかる時がくる。





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待ち遠しい春




今年はとても、春が待ち遠しい。



冬の間に剪定したモミジが、
イメージ通りに芽を吹く事が。

すっかり赤くなったリシマキアが、
また鮮やかなライムグリーンの姿になる事が。

ひと月前に買った時からずっと土しか見えないホスタのポットから、
若葉がでてくる事が。

見切り品で買ってきたディコンドラシルバーフォールズが、
再び顔を出す事が。


去年の今くらいの時期には、名前も知らなかったそれらの生き物たちが、暖かな陽気と共に昨年まで荒れ放題だった家の庭と僕の心に色彩を与えてくれるであろう春が、今はとても待ち遠しい。



子供の頃、今よりたくさん雪が降っていた頃、地面を白く覆い隠していた雪の所々から、顔を出したふきのとうを見つけることにとてもワクワクした事を思い出す。

そのふきのとうを両手いっぱいに摘んで持ち帰ると、いつも母は喜んでくれた。

そのふきのとうが入った母の作った味噌汁は、苦くて正直あまり好きでは無かったけれど、僕は変わらずふきのとうを見つけると、いつもワクワクした気持ちになった。

今の僕が春を待つ気持ちは、その時のワクワクに似ている。



これまでいつの間にか訪れて、いつの間にか去っていった春が、今年はとても待ち遠しい。

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